素晴らしい日本人に聞くシリーズ
第四章
導いてくれるものは「愛」しかない
(タカオ・セルフケア・メゾットのレッスンにて)
藤原:施術の時は、どのようになさっておられるのでしょうか?
高尾院長:施術の時は、クライアントにすごく集中します。
その方の発する訴えを感じ取ります。感覚全開でその方の中に入って、いろいろな緊張や不具合を拾って行く様な感じなのです。
体が主張している箇所に触れていくと、次第に読み解けて、本当の原因となっている所が明らかになります。
そこを、どうリリースすれば良いのか?
こっちからこう解くのか?
その前に他の部分を訂正するのか?
その時、私が何を考えているかというと、頭の中に、ここからあそこ、というようなラインが明確になってくるのですが、この作業は「祈り」ですね。
「この方が良くなりますように」と、ただお祈りしているのですそして、体に教えてもらいます。
「ここにすごくこだわりがあるのでその緊張をリリースしたいのだが、どちらから解けば良いのか?」と体に訊いているのです。すると体は「こちらが良い」と答えてくれます。
藤原:人によってその向きは違うのですか?
高尾院長:もちろんです。全然違います。ずれているところがいったい何度ずれているのか?
集中し、例えば「3度」という答えが出てくるまでは、全身を見ながら行ったり来たりが必要なのです。そして導かれます。
その原動力、エネルギーは「愛」です。「愛」しかない。
藤原:「私にもよく分かる」と言ったらいけないのでしょうか。
祓い清めをする時、私も、この人のどこを重点的に祓ったらいいのかを感じ取って行います。この人は腰だとか、胸だとか・・
「これは、どこで感じるのですか?見えるのですか?」と聞かれますが、返事のしようがないです。
やはり「命からの答えを感じ取る」としか言いようがないですね。
高尾院長:それは「愛」が無かったらできないでしょう。「愛」があるから、見つけられるのです。
藤原:そうですね。これを「自分の力でやってやろう」と思った瞬間にできなくなりますね。
力をいただいて、その人の中を見るというのは、すごく共通していると思います。
高尾院長:テレビで仏師の方が、お姿を「こうして欲しい」と木が言うからそれを彫り出していく、とおっしゃっていましたが、まったく同じです。
その体が「こうして欲しい」と言うから、それをいかにご負担無く、早く見つけるかなのです。
しかし、やはり初めての施術はどうしても2時間半くらいかかります。
藤原:人によってそれぞれ違うのでしょうが、やはり体の中で共通する、一番大きなツボとかポイントはありますか。例えば首とか。
高尾院長:いやいや、人によってまったく違います。
例えば、右側の鼠径部に何かクセがある人の場合、かつてそこをヘルニアで手術しているから、そこを守るようにしていました。
「侵襲(しんしゅう)」になっているのです。手術やブロック注射、点滴でさえも「侵襲(しんしゅう)」になることがあります。
それを解かないと、その人の今の不調は改善しないですし、放置すれば、どんどん弱化すると感じます……。
以前にそこが傷んだことを体は覚えているのです。
私はよく冗談で「怨念がある」とか「遺恨が残っている」とか言うのですが、何かがそこにあるわけです。
かつては必要であり、治った今でも「大変だったのだ」と体が訴えている部分がある。
だから、それを解いてあげないといけないのです。