対談 ドトールコーヒー名誉会長 鳥羽 博道様  第四章 - 蘇れ日本人の会

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素晴らしい日本人に聞くシリーズ

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第四章
子供も社員も「親の背中を見て育つ」

藤原美津子:鳥羽会長は、ご自身の考え方、生き方を社員教育に生かしていらっしゃるのでしょうか?

鳥羽博道会長:よく雑誌のインタビューなどで「社員の教育をどうしているのですか?」と、聞かれることが多いんです。ですので、いつもこう答えています。

「ぼくは社員の教育ができません。ぼくができることは、率先して手本を示すことだけです」

藤原美津子:鳥羽会長の「意欲」も、環境から与えられたものと思われますか?

鳥羽博道会長:そうですね。ぼくは高校生の頃に家を飛び出したのですが、そのままぬくぬくと家にいたら、今のぼくはなかったと思います。
今になって振り返ると、父親のぼくに対する深い愛情を感じます。


ぼくが自分自身の進むべき道を見つけられたのは、父の教えがあったからだと思います。

藤原美津子:「率先して手本を示す」といいますと、例えばどのような……?

鳥羽博道会長:例えば過去に、フランチャイズのある店が汚い……という問題が起きたことがありました。ぼくは、その店の責任者を呼んで「掃除しなさい」と、頭ごなしに怒ることはしませんでした。

それで何をしたかというと、ぼくが直接その店に出かけて行って、店の掃除をしたんです。そうしましたら、掃除が必要だ……ということを自然に理解してもらうことができました。

藤原美津子:フランチャイズのオーナーがいらして店の掃除を始めたら、さぞやそのお店の方はびっくりされたでしょうね。

鳥羽博道会長:大変なこと、嫌なことはまず自分がやるというのが、ぼくの方針です。命令だけで人を動かすというのは好きではありません。

経営者は「命令すること」が仕事だと思っている方もいるようですが、それは違います。必要だと思ったら、何でもまず自分が率先してやることが大事なのです。

ぼくは何かトラブルが起きた時、相手を責めるのではなく、まずは自分を見直します。それから相手に話す、あるいは行動に移します。子供に対しても、社員に対しても、ぼくのその方針は変わりません。

社長が美辞麗句を並べるのではなく、実際にその通りにやっていることを見せなければいけないということです。見ていないようで、人は見ているものです。

言葉がいくら奇麗でも、やっていることが一致しなければ、人は耳を傾けません。

大上段に教育……といわなくても、掲げる理念に行動が伴っていれば、社員は自然にそれに習うものだと思います。

藤原美津子:子供も社員も、「親の背中を見せて育てる」……ということですね。

鳥羽博道会長:「馬方が馬に水を飲ませようと、水辺に連れていっても馬が飲もうとしなければ、どうにもならない」という言葉を、父がぼくによく話してくれました。

確かに馬が水を飲みたいと思わなければ、人の力で水を飲ませることはできません。馬は、本当に喉が渇けば水辺に走り、水を飲むはずです。

社員教育においても子供の教育においても、「自分自身を向上させよう」という気持ちがなければ、いくら学ばせても、身には付きません。

ですが、自分が本当に成長したいと切望した時には、学んだことがまるで砂漠に水を撒いたかのように、体中にしみわたります。それが本当の教育であり、勉強ではないでしょうか。

藤原美津子:まさしく、教育の原点ですね。

鳥羽博道会長:それから大事なのは、上に立つ者は常に「公平公正」であるべきだということですね。何かが起きた時、損得で考えてはいけない。また感情に囚われてもいけない。


どんな状況下にあっても、何が正しいかを先に考えるべきだと思います。

対外的な問題を解決する場合、多少、利害においてマイナスがあったとしても、正しい道を選んでいれば、ダメージがあっても最小限で済みます。 また長い目で見れば、その企業を成長させることに繋がると思います。


次回  第五章『「100年続く会社は「創業者の哲学を正しく後世に伝える」』 を掲載

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